劇団、本谷有希子『偏路』
観劇日時2007年12月21日19:00
夜、新宿の紀伊國屋ホールまで、劇団、本谷有希子『偏路』を観に。装置が、本谷らしい、日本家屋、なんだけど、ナイロン100℃の『わが闇』とスペースの分け方が似ていた。というか、どっちかと言えば、『わが闇』を観た時、本谷のセットみたい、と思ったのだが。
そんで、席は最前列。装置のこたつの前で観た。こたつの向こう側が見えにくかったけど、目の前であれこれやってくれる、汗飛んできそうな距離の近藤芳正さんの演技を堪能できた。
本谷ならではの題材をうまく舞台に上げていた。俳優さんたちがみんな役柄をよくこなしていて、説得力のある作品になっていたと思う。主人公が持っている葛藤は、わたしは理解はできるけれど共有はしていなくて、最初その年齢でそれってありか、と思った。最後には、こういう人実際いるよなぁ、と思えた。
以下自己責任でどうぞ。
北陸から女優目指して東京に行った主人公(馬渕英俚可)だったが、内輪もめで劇団解散、実家に戻る決意をした。時は正月、主人公は、父(近藤)がお遍路をするというのにくっついて親戚を訪れている。主人公は、地元で経理をしている従妹は退屈な毎日を送っているとはなから決めつけている。従妹は元旦から開いてるSATYで福袋を買ったり、その兄は、先に都落ちして以来無職だったり。一家の大黒柱は正月も夜勤。主人公の母も正月から働いている。
書いてみると、地方都市の暮らしがよく出てるなぁ。コンビニができて便利になったけど、コンビニがなかった頃は、正月に働くなんて、交通機関の人や神社の近くで商売してる人くらいだった。正月くらいみんな揃ったものだったのに、元旦にさえ家族がそろわなくなって、でもって登場人物たちは、なんというか、幼い。
主人公と父に関しては、十代でああいうぶつかりあいはきちんとしておかないとねぇ、と思った。もう子どもも30前後になると、親は老い始めているので、いたわりを持って接するようになってしかるべきだとわたしは思う。しかし中年になってから「俺の人生を返せ」と親をつきあげる人は多いようなので、現実をよく酌みとっていると言えるかも。
主人公が抱える、地域に東京から移り住むことに対する葛藤。東京から離れる葛藤っていうより東京の演劇界から離れる葛藤かなーーー。わたしももともと関西在住。言いたくはないが、今住んでいる首都圏を離れて失うものがあるとすればそれは観られる演劇の多様性だと思っているので、難しいなぁ。ただ、東京は決してかっこよくはないと思う。渋谷の大画面なんかギラギラしててセンス悪いし、どこもかしこも舗装されちゃってるし。ちょっと離れると駅前全部似てるし。でも、東京の人はこういう東京が好きなんだよね。
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