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こまつ座『父と暮せば』

観劇日時 2008年6月20日19:00~20:20

観ようかどうか迷っていたら、知人が切符を譲ってくれたので、よろこんで観劇。劇場は紀伊國屋サザンシアター。この、井上ひさし作こまつ座『父と暮せば』は、以前辻萬長さんと西尾まりさんで観ていて、2回目。今回、父役は同じく辻萬長さん、美津江役は栗田桃子さん。美津江の、ふだんのはつらつとした感じと、絶望的な内面がよく伝わってきた。

初めてこの作品を観た時に比べ、今のわたしは、ほんのすこし、原子力に関する知識が多い。広島に落とされた原爆はウラン濃縮型で、積載されたウランの量は50 kg、そのうち実際に燃えたウランは800 g。その時にヒバクシャに見えた青い光は、JCOの事故の被害者が見たものと同じもの。ちなみに、JCOの事故の時燃えたウランは、全部でたった1 mg。

このお芝居に描かれている脅威は、わたしにとっては昔のことではなく今も続いていて、原爆のおそろしさが、強く伝わってきた。戦後ABCC(米国が設置した原爆傷害調査委員会)が治療を行わずただ被曝のデータを集めたことも改めて思い出した。

しかしこのお芝居は反原発プロパガンダでは決してない。確かに、原爆にからむ「生き残ってしまった苦しみ」や「見殺しにしてしまった苦しみ」には心を打たれたが、親子の愛情や若い恋、今は珍しくなった雨漏りや薪で焚くお風呂、さらに言葉を伝えようとする志など、観客が自分の好きなところを感得できる作品だと思った。

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